Bowmodel 02
Bowmodel 02
ウィーン美術史美術館所蔵、16世紀イタリア製 (SAM84) 復元モデル
オリジナルの弓について
この弓(SAM84)は、SAM74(Bowmodel 01参照)と同様にウィーン美術史美術館に所蔵されているエステ・コレクションの中の弓で、元々はパドヴァのカタジョ城にあったものである。
この弓は、同じ特徴を持つSAM81と共に美術史美術館に展示されている。
これらの弓の第一の特徴は、どちらの弓も温暖な地域に生息するヤシの木(パーム)で作られていることだ。ヤシの木は部位によって硬さが違い、繊維がもろいため、加工することが比較的難しい。
第二の特徴は、どちらの弓もクリップイン・フロッグ方式で、オリジナルではなく、後から付け足されたものであると思われる。このフロッグは先端がまっすぐにカットされており、竿に対して太すぎるように見える。(写真参照)
三つ目の特徴は、この弓のヘッド部分である。通常の弓にみられるようなヘッド部分はなく、弓の先端にある突起に弓の毛の束を直接結んで、取り付けられている。
弓の全長は、SAM84が525mmに対してSAM81は645mmである。さらにSAM81の方が20g近く重く、この差は演奏の際に大きく影響すると考えられる。
この弓は、同じ特徴を持つSAM81と共に美術史美術館に展示されている。
これらの弓の第一の特徴は、どちらの弓も温暖な地域に生息するヤシの木(パーム)で作られていることだ。ヤシの木は部位によって硬さが違い、繊維がもろいため、加工することが比較的難しい。
第二の特徴は、どちらの弓もクリップイン・フロッグ方式で、オリジナルではなく、後から付け足されたものであると思われる。このフロッグは先端がまっすぐにカットされており、竿に対して太すぎるように見える。(写真参照)
三つ目の特徴は、この弓のヘッド部分である。通常の弓にみられるようなヘッド部分はなく、弓の先端にある突起に弓の毛の束を直接結んで、取り付けられている。
弓の全長は、SAM84が525mmに対してSAM81は645mmである。さらにSAM81の方が20g近く重く、この差は演奏の際に大きく影響すると考えられる。
研究課題
寸法のバリエーションについて
先に述べたように、長さは違うが同じ特徴を持つ弓が対になって存在していることが非常に興味深い。
この長さの違いは何を意味するのだろうか?
その長さは、使用する楽器の大きさに比例しているのだろうか?
もしそうなら、どの弓が楽器に対応するのだろうか?
私の課題は、当時の文献などからの記述を踏まえ、これらの弓の寸法の違いの意味するところを実践的に確かめることだ。
弓の装飾
もうひとつ興味深いのは、弓の先端の構造だ。この弓の先端は何かが外れてしまったような形をしている。この時代の絵画に描かれた弓たちを見てみると、先端に装飾が施されている弓を見つけることができる。そこから、この弓にも本来はなんらかの装飾がついていたのではないだろうかと私は推測する。もうひとつ興味深いのは、弓の先端の構造だ。この弓の先端は何かが外れてしまったような形をしている。この時代の絵画に描かれた弓を見てみると、先端に装飾が施されている弓を見つけることができる。そこから、この弓にも本来はなんらかの装飾がついていたのではないだろうかと私は推測する。
これについて「失われた王冠プロジェクト」という名で、研究していこうと思う。
詳細情報
- 長さ:
- 525mm (オリジナル)
- 重量:
- 約48g (オリジナル)
- 材料:
- 竿: ヤシ(パーム)
フロッグ: 散孔広葉樹(オリジナル) - 制作した弓:
- 竿: プラム、イチイ
フロッグ: プラム、ツゲなど - *オリジナルの弓のデータはルドルフ・ホプナー著「Streichbogen」より引用